「明日、合コンなんだって?」
「耳が早いな。誰に聞いたんだ?」
「坂本だよ。相手は女子大のきれいどころらしいじゃないか」
「うん」
「頑張って、彼女ゲットして来いよ」
「まあ、こんなチャンスは滅多にないからね。せっかくだから、オレもちょっと考えてみたんだ」
「考えたって、何を?」
「今回の合コンで彼女をゲットする方法だよ」
「彼女をゲットする方法って――そんな必勝法みたいなのがあったら、みんな苦労しないって」
「それが、いい作戦が浮かんだんだよ」
「へえ。どんな作戦なのか、拝聴したいものだな」
「いいよ。今回の合コンは三対三なんだけど、女の子には一番可愛い娘とその次に可愛い娘、そしてカスがいるわけだ」
「カスとはひどいな。まあ、呼び方はともかく、レベルはそれぞれだな」
「で、一番可愛い娘は、当然、オレ以外の男たちも狙うわけで、競争率が高くなる」
「ふむふむ」
「そこでオレは一番目ではなく、二番目に可愛い娘を最初から狙っていくわけさ。他の男二人が一番可愛い娘に執着している間に、こっちは二番目に可愛い娘と親しくなっておくわけ。これならうまく行きそうだろ?」
「なるほどな。確かに悪くない作戦だ。じゃあ、来週、その作戦の成果を聞かせてもらおうか」
「おい、先週の合コンはどうだった?」
「思った通りだったよ。他の男たちは一番可愛い娘に夢中になってさ。その間、オレは二番目に可愛い娘とたっぷり会話が出来たよ。二番目って言っても、かなり可愛い娘だったけどな」
「へえ、よかったな。作戦大成功じゃないか」
「うん、会話をしているうちに、その合コンの必勝法の話になってね。何と、彼女もオレと同じようなことを考えていたんだって」
「へえ。考えることまで一緒だなんて、何だよ、お前ら、相性バッチリってか? このこの!」
「いや、そこまではよかったんだけど、結局、駄目だったんだ」
「何で? 作戦は見事に的中したんだろ?」
「オレにとってはね。でも、彼女にとって、オレは男三人の中でカスだったってことさ」