「あの二人、怪しくないですか?」
パトロール中だった新人の女性巡査が街角で二人の男女を見咎めた。
一人はサラリーマン風の中年男性、もう一人は制服を着た女子高生だ。
二人は待ち合わせをしていたらしく、楽しそうに談笑していた。女子高生が男性に腕を絡ませ、何処かへ行こうと誘っている。年齢は離れているが、非常に親しげな関係に見えた。
きっと女性巡査の脳裏には、「援助交際」といういかがわしい文字が浮かんだに違いない。不純異性交遊なんて許さない、とばかりに、すぐにでも職質に行きかねない顔つきだ。
「待て」
彼女の指導係でもある巡査部長は、後輩が動こうとするのを止めた。
「なぜですか、午頭さん。まさか見過ごすつもりですか?」
「いや、違う」
「言い逃れ出来ないよう、ラブホまで尾行して、現行犯逮捕するとか?」
「そうじゃない。あれは……私の娘なんだ」
「えっ!?」
ビックリした女性巡査は目を見開いた。マジマジと女子高生と巡査部長の顔を見比べる。
「……親子の割には似てないですね」
「やかましい。余計なお世話だ」
「でも、娘さんにとっては良かったと思います」
「何だと? どういう意味だ?」
「そんなことより一緒にいる男性に見覚えは? お知合いですか?」
「いや、見たこともない顔だ。誰だ、あいつ。けしからんヤツめ」
「じゃあ、やっぱり……」
「くそぉ! 大事に育ててきた一人娘がパパ活だなんて……! よし、二人が何処へ行くか確かめるぞ」
「……あれ? ちょっと待ってください」
「な、何だ?」
「この前の非番のときを思い出したんです。カラオケ屋の前で偶然、午頭さんと会いましたよね?」
「それがどうした? 早くしないと見失ってしまうぞ!」
「あのとき一緒にいた、私の娘だと紹介してくれたお嬢さんとあの娘……どう見ても別人じゃないですか!」
「………」
「さっき、『一人娘が』って仰っていたはずですが?」
「そ、それは……」
「確か、午頭さんのことを『パパ』って呼んでいましたよね? あの可愛い娘、誰だったんですか? 一体どういうご関係で?」
壁紙提供=素材屋 flower&clover