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あ と が き


 最後までお読みいただいた方、ありがとうございました。
 久しぶりのホラーだったのですが、怖がっていただけたでしょうか? それだけが心配です(苦笑)。
 本作は「髪の毛」を題材にしております。
 何を隠そう、私の父親は理容師をやっていましたので、生まれてこの方、一度もお金を払って散髪したことなどございません(笑)。現在、その父も退職しましたが、未だに同居している私の伸びた髪の毛を見ると、二言目には「切るか?」とうずうずしています(失笑)。どうやら男の長髪は許せないようです。戦争へ行った世代ですし、加えて職業病ですね(?)。
 そんなわけで、昔から私の家族と髪の毛は切っても切れない存在でした。しかし、あの切った髪の毛をゴミ箱いっぱいに捨てる光景を想像してみてください。かなり気味が悪いものです。仮にも人間の一部だったものがゴミとして平然と捨てられることに、私は少なからず嫌悪感を抱いていました。
 地肌に抜けた髪の毛がはらりと落ちたときの不快感。洗髪をしているときに抜けた髪の毛が指にまとわりつく感触。こんなことを感じるのは私だけでしょうか。
 本作は、そんな私のイメージとホラーが結びついた産物です。それが少しでも伝わり、作品への相乗効果となっていれば幸いです。
 それにしても私は今でも髪を切られるのが苦手です(苦笑)。これは昔からなのですが、どうも頭の左側を切られたり、剃られたりするとき、体がビクッと反応してしまうんですよね。そのせいで昔は、「動くな」とよく叱られましたっけ。
 誰かにこの話をしたとき、人間の心臓は左側にあるから、無意識に刃物──つまり、この場合はハサミやカミソリ──に反応してしまうんじゃないかと言われたことがあるんですが、本当にそうなんでしょうか? 何となく、私のトラウマになっている気がします。まあ、あまり今回の作品には関係ない話ですけれども(苦笑)。
 閑話休題(ここからはネタバレを含みますので、ラストまで読んだ人に限ります)。
 実は当初の予定では、姉・映美の怨念が妹・梢を苦しめるという単純なストーリーのつもりでした。
 しかし、本作よりもずっと前に構想していた「姑」というホラーが頭にあったため、いつしか両作品がごっちゃになってしまう結果に(苦笑)。もう、「姑」の方は似通った内容になるため、ボツにするしかないでしょうね(苦笑)。
 ちなみに「姑」というホラーは、女性にとって一番幽霊になったら怖いのは誰だろうと考えて、導き出された答え(笑)。せいぜい、怖がっていただければと思います。

2005年9月20日 RED


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