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あ と が き

 短いのですが、これが不定期連載小説「WILD BLOOD」の第14話「ロング・グッドバイ」です。このあまりの短さ、ちょっと驚かれたでしょうか?
 本書は、元々、「突発性競作企画」の再企画『月夜』を見かけたときに、パッとひらめいたものであります。当初は番外編のつもりで書こうと思っていました。
 その仮タイトルも、「ロング・グッドバイ 〜もうひとつのWILD BLOOD〜」。いかにもそれらしいでしょ?
 でも、結局は筆が乗らず、このままでは締め切りに間に合わないと判断し、別作品のショートショート「野生の覚醒」に差し替えてしまいました(この代替作品が波紋を呼んだのは、また別の機会にでも)。
 すると今度は、同じく「突発性競作企画」で『「さよなら」は言えない』が公募されました。作品的にはテーマに即していたので、これ幸い、とお蔵入りになりかけていたものを引っ張り出そうとしたのですが、「歴史は繰り返す」と昔の人は座布団を三枚あげちゃいたいくらいうまいことを言うもので、またしてもこれが提出ならず。これ以降、「突発性競作企画」は休止となったため、あのとき、どうして書けなんだかなあと、ちょっぴり心残りとなりました。
 しかーし、それくらいのことで、せっかく浮かんだネタを捨てるなど、そんなもったいないことはさすがにしません。基本、個人としては浪費家ですが、アイデアは大事にするタイプなんです(笑)。
 というわけで今回、ズバリ、第14話として仕上げました。いつになく掌編の短さになったのは、当初にそういった企画を念頭に置いていた読み切りの番外編だったからであります。
 それにしても、以前は番外編については否定的な立場だったのに、どういうわけで書くつもりになったのか。というのも、番外編というのは一般的に、本編とは違った趣のサイド・ストーリーという意味合いが強いと思うのですけれど、他の作家さんのことはともかく、自分の中では、“これは本編、こっちは番外編”と、わざわざ区別する必要性を覚えないのです。ちょっと毛色が変わっているかもしれないけれど、それを本編と呼んでも差し支えないだろう、と。まあ、それが私の考え方なんですね。そういう意味では結果として、“自分を曲げなかったんだ、偉いぞ、私!”と褒め称えちゃいます!(――単に締め切りに間に合わなかっただけの結果オーライなんて混ぜ返されたら、グウの音も出ませんが)
 実際、第10話「KILL BLOOD」も主人公のアキトたちが出てこない異色作でした。これこそ、番外編と言えなくもないでしょう。でも、私はそうせずに、本編の第10話としました。主人公は違うけれども、これも「WILD BLOOD」のひとつのエピソード。だから番外編ではないのです。
 今回も、ほとんどのレギュラー・キャラクターが登場しません。おまけに本編よりも過去を描いたものとなっています。それでもこれは“第14話”。前回の「学園の支配者」で、吸血鬼<ヴァンパイア>の悲しい宿命について少し触れましたが、まさに今回はそのことが核になった物語です。
 あえて本編の何年前とは明記していませんが、それは追々、明らかになっていくことでしょう。深読みをされる方は、ひょっとすると出てきた登場人物の名前から、作者の目論見を推理できるかも(ふふふ)。どうぞ、あれこれと想像をふくらませてみてください。

 それでは、次回予告!

 年に一度の学園祭に沸き立つ琳昭館高校。
 アキトたち一年A組は、オリジナル脚本の演劇発表に挑む!
 そのヒロイン役に抜擢された薫の身に絶体絶命のピンチが!


 次回、第15話「JK戦士ブルセラムーン(仮)」!……(笑)

 今、ここに五人の戦士が集う!

 ……お楽しみに(爆)。

2011年2月25日 RED


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