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あ と が き

 ここに「吟遊詩人ウィル・黒の館」をお届けします。
 本書は突発性競作企画第17弾「vs.Glim.」の参加出展用に書き下ろした作品です。また、自サイトでシリーズ化している「吟遊詩人ウィル」の最新作でもあります。
 今回の企画は、「有希之武氏の描いたイラストからインスピレーションを得て」というものでした。過去、プレゼントしていただいたMIDIから作品を書いたことはありますが、イラストからというのは初めての経験。
 そんな有希之武氏のサイト「Glim.」「Glim.BLOG」から題材となるイラストを拝見していくと、ひとつの作品が目に留まりました。それが本書で用いたイラストです。
 妖しげな男女がポーズを決めながら、こちらへ微笑んでいるデスクトップ用のイラスト(ちなみに、現在、私のPCでも使用しております)。一目見た瞬間に、怪しい洋館に暮らす、この男女の深い闇が脳裏に浮かびました。それが美しき孤高の吟遊詩人ウィルと結びついて、瞬く間にストーリーの大筋が決定。かくして、本書の完成と相成ったわけです。
 一応、企画の規程によれば、シリーズ物も単独で読めるものなら可とあったので、いささか一見の読者様には申し訳ないと思いつつ、あえて「ウィル」でチャレンジしてみました。もちろん、初めての方でも戸惑うことがないようにしてみたつもり。──というか、このシリーズは時系列がバラバラですし、それぞれが単独でもOKで、必ずしも他を読んでないとダメというわけではないのですが(苦笑)。これを機に、他の作品にも手を伸ばしていただけたらな、と思います。
 それにしても、久しぶりに短編の枠で「ウィル」がおさまったものだと、我ながら驚いております(苦笑)。なにしろ、最近は書けば書くほど長尺になっていく傾向があり(汗)、連載の過程で短編から中編、そして長編にまでなってしまうことしきり。とりあえず今回は、短編にしておかないと一見の読者様に読んでもらえないぞ、ということで(笑)、極力、短くしようしようと努力したのですが、それが功を奏したらしく、思ったよりもコンパクトにまとまりました。
 おお、やればできるじゃんか(笑)。
 本当は館を訪れるのはウィルでない別の男で、主人公は助けるためだけに登場させようと思っていたのですが、それだとやっぱり長くなってしまいそうな予感がしたので、冒頭部分をボツにしてしまいました。おかげで不感症の主人公を釣るはめになり、クローディアのお色気シーンを大幅カット(笑)。男の膝の上に跨って、ワインを口移しとか用意していたんですけど、反応しない男に迫ってもしょうがないしねえ。う〜む、残念。
 ちなみにボツにした冒頭部分は気に入っているので、また別の作品に流用しようと企んでおります(♪)。アイデアは決してムダにしないタチでして(笑)。
 というわけで、次の「ウィル」、もしくは次の企画でお会いしましょう。
 では。

2007年3月10日 RED


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