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あ と が き

 ここに「吟遊詩人ウィル・神々の遺産」をお届けします。
 ネット上での長編連載は二作目となりますが、その期間は一年半に及び、四百字詰め原稿用紙にすると千二百枚以上。間違いなく、私の作品の中では最も長い小説と言うことになるでしょう。よく、ここまで書いたものだと自分で自分を褒め称えたいところですが、プロの作家さんには「グイン・サーガ」全百巻(※2006年現在、すでに超えていますね)だとか(苦笑)、書き下ろし渾身の三千四百枚だとか化け物が多いので、私の作品などは埋もれてしまいそうです(笑)。でも、完結したということだけは胸を張りたいですね。
 元々、「吟遊詩人ウィル」は短編シリーズとしてやっていこうと考えていたのですが、まだ短編「狼の祭壇」一本しか書き上げていなかったにも関わらず、こうして長編の「ウィル」に挑んだのは、当初に考えていた連載モノの構想がまとまらなかったという事情もありながら(苦笑)、ウィルという完全無欠でありながらも、今一つ掴み所のないキャラクターを作者自らが把握するために始めたと言っても過言ではありません。こうして長期に渡ってウィルというキャラクターを見つめた結果、少しは私の中で方向性が分かってきたような気がします。そういう意味では収穫のあった連載でありました。
 とは言え、あまりに長い連載だったため、ストーリーの基本ラインこそ変わらなかったものの、色々と誤算があったのも事実。最後まで生き延びるはずのキャラクターは死んでしまいましたし、目立たせたいキャラクターがなかなか活躍しなかったこともあります。そうやって書いているうちに、ふと、ある考えが頭をもたげてきたのです。
 さあ、ここで一発ぶちまけましょうか!(笑)
 本作「神々の遺産」は、「神々の黄昏」シリーズの第一弾と位置づけます!(安易なシリーズ名ですけど)
 つまり、「吟遊詩人ウィル」シリーズの中でも、天空人を扱ったこのシリーズを長編三部作とし、次作「神々の帰還」、そして完結編「神々の黄昏」を構想しました。果たして、ここまで大風呂敷を広げていいものかと、私もドキドキしているのですが、本作「神々の遺産」でやり遂げられなかったもの、また執筆中に新たにやってみたくなったものを注ぎ込みたいと思います。
 次作「神々の帰還」は、本作「神々の遺産」から五年後のセルモアが舞台となります。もちろん、大きく成長したデイビッド、キャロルを初め、本作で登場したほとんどのキャラクターが勢ぞろい。物語は数千年前に天空へ浮上したはずの魔法都市が、突如、降下してくるところから始まります。
 そして、完結編となる「神々の黄昏」は、ネフロン大陸全土を巻き込んだ壮大な戦乱の物語となるでしょう。ひょっとすると、この「神々の黄昏」がウィルの最後の戦いになるかも知れません。それだけ凄まじいものになるはずです。
 とは言え、どちらを執筆するのも、まだ先の話。それよりも先に、他の「ウィル」の物語を執筆するつもりです。そのときにまたお会いしましょう。
 では。

2003年3月30日 RED


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