ここに共作短編ファンタジー「坂時村」をお届けします。
本作は「共作」と銘打っているように、これまでの作品とは異なり、私の完全なオリジナルではありません。作品の冒頭に当たる「1」は、宮沢春日(はるりん)さんが書かれたもので、「2」から最後までは私が執筆を担当しました。
こうなりました経緯は、私がはるりんさんのホームページにたまたま訪れたところから始まりました。そのとき、私は偶然にも300ヒットのキリ番を踏んでしまったのです。一応、その旨をご報告申し上げたところ、記念にはるりんさんオリジナルのイラストか小説をリクエストできるとのこと。
こういうのは、以前、八女晶子さんのホームページで同じようにキリ番をゲットし、「WILD BLOOD」のイラストを半ば強引に(苦笑)描いてもらったことはあるのですが、それ以来の出来事でした。
私は、はたと悩みました。せっかく戴けるのなら、何か私に──もしくは、私のホームページにプラスにならないかと。そこで思い浮かんだのがコラボレーション。戴いたイラストや小説からインスピレーションを得て、何か物語が出来ないかと考えたのです。おお、何てお得なんでしょう!(笑)
最初はイラストを戴き、ホームページに飾らせていただきました。そのことをはるりんさんの所へご報告に行くと、今度はまたしても偶然に二度目のキリ番をゲット!(笑) こういうのをツイていると言うのでしょうか?(苦笑) せっかくなので、次のリクエストとして小説をお願いしました。それも冒頭部分だけを。それが本書「坂時村」でした。
私は色々なジャンルを書いています。ファンタジーや現代物、ホラー、ミステリーなどなど。ですから、ある程度、どんな話でも対応できるとタカをくくっていたのです。ところが、はるりんさんから戴いた「坂時村」を前にして、私は悩んでしまいました。どう書けばいいんだろう、と。いや、シンプルに書けば悩まずに済んだかも知れませんが、何せあまのじゃくな私のこと、どうやってひねってやろうかと考え始めたら、思考がぐるぐる頭の中で回ってしまって、なかなか答えが導き出せませんでした。
そして、当然のことながら気をつけなければいけないのが、冒頭部分の雰囲気に合わせて作品を書いていくこと。これがまた苦労しました。一応、物語が進むにつれ、徐々に自分のカラーには移行しているのですが、ここまで気を使うことになるとは(苦笑)。もちろん、自業自得なんですけどね。
それでも、どうにか完結まで漕ぎ着けることが出来ました。あとは冒頭部分を書いていただいたはるりんさんにお読みいただき、ご納得いただければ肩の荷が下ります(笑)。しかし、もう共作はこりごりかも(苦笑)。今後、イラストや小説を戴くときは、その方のオリジナルを尊重することにします。
とはいえ、普通だったら自分で書かないような作品を書くこともできたので、それなりに貴重な体験でありました。しばらくは結構ですが、再びこのような企画に挑戦する日もあるかも知れません(笑)。
2004年4月28日 RED