←前頁]  [RED文庫]  [「神々の遺産」目次]  [新・読書感想文]  [次頁→

[第九章/− −2 −−]



吟遊詩人ウィル・神々の遺産

第九章 地に潜みしもの(2)


「ぐおっ!」
 カシオスはベッドの上でのたうち、苦鳴をあげた。レザー・アーマーと服を脱がされた全身は、所々がただれ、赤くなっている。軽度ではあるが全身火傷の状態だ。ウィルのファイヤー・ボールを受けたせいである。一応、髪の毛を硬質化させ、全身を覆うようにガードを固めたのだが、それでも防ぎきることはできなかった。もし、あのままウィルが戦い続けていれば、きっとカシオスの命はなかっただろう。
「大丈夫かい?」
 そんなカシオスの状態を見て、ハーフ・エルフのサリーレが心配そうに声をかけた。
 ここは領主の城で、ゴルバが弟にあてがった寝室である。ダメージを負って帰ってきたカシオスをサリーレがここまで運んでくれたのだ。
 カシオスとサリーレは山賊団の頭領と手下という関係以上に、男と女の関係でもあった。城の薬師が治療を申し出たが、サリーレは自分がやると言って、塗り薬だけを受け取り、断った。
 サリーレはカシオスを脱がしてから、なぜか自分も全裸になった。眩しいくらいの白く華奢な裸身が露わになる。半妖精の美しさに目を奪われない者はない。そして、横たわっているカシオスの上に覆い被さるようにして、赤くただれた胸をまるで犬のように舐め始めた。
「うっ!」
 カシオスはサリーレの舌使いに呻いた。それは火傷による痛みであり、愛撫による快楽からであった。
「あなたがこんな目に遭わされるなんてね」
 サリーレはカシオスの乳首の周りを舐めながら言った。
「ウィルと言ったか……ヤツは……強い!」
「あなたの髪の毛も見切られていたの?」
 サリーレの舌は胸から徐々に腹部へと移る。
「ああ。恐るべきヤツだ。あれはただの魔術師などではない。戦士としての技量も抜きん出ている。ソロすら敵わなかった」
「でも、このまま大人しく引き下がるつもりはないのでしょ?」
 舌による愛撫は腹部よりもさらに舌へ。
「もちろんだ。何よりデイビッドがヤツの側にいる限りはな」
「勝算はあるの?」
 そこで一旦、サリーレは愛撫をやめ、上目遣いにカシオスを見る。
「正直なところ、今の時点では皆無だな。だが、ヤツも人間だ。何か弱点があるはず」
「探ってみる?」
 サリーレの舌も探りを再開させる。
「そうだな。チックとタックにやらせてみよう」
「分かったわ。──はうっ!」
 突然、サリーレが身悶えた。カシオスは何もしていない。だが、明らかに感じ入った様子で身をよじらせる。
「ああ、カシオス、こんな身体なのに……」
「オレは髪の毛だけでお前を満足させてやれるぞ」
 サリーレを責め立てているのはカシオスの髪の毛だった。髪の毛がサリーレの性感帯を刺激しているのである。それは人の手による愛撫よりも数百倍効き、たちまちサリーレを絶頂へと導いた。


<次頁へ>


←前頁]  [RED文庫]  [「神々の遺産」目次]  [新・読書感想文]  [次頁→